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漫画家・竹谷州史のブログです。
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Posted by 竹谷州史(たけやしゅうじ) - 2011.04.27,Wed
昨日のことですが
拝金、原作者の堀江貴文さんの上告棄却が発表されました。

率直に言って、残念です。
なんというか…うまく言えない心境です。


僕が堀江さんについて知ったのはゼノン編集部のAさんに拝金の漫画化のお話を頂いてからです。
ほんの一年の間のことです。

じつは多くの皆さんと同じように、
いわゆる「ライブドア事件」のときには私も堀江さんについては多くを知りませんでした。

何かお金について何か「ズル」をして捕まった人なのだろう、そんなイメージです。
その直前に野球チームやTV局を買収しようとした時に、
お金で僕らの心をふみにじるような、とても悪いひとだ、という噂も
TVからぼんやり流れてきました。

それ以上の興味もなく、時は過ぎて……。

僕がツイッターを始めた一年ほど前。
最初のおすすめユーザーに堀江さんが現れました。

なんだか興味もない有名人をフォローするのイヤだなあ。
でもツイッターの勉強のためにフォローしておいてやるか。

僕はてっきりこの人は一度捕まって出て来たのだろう、くらいに思ったのです。


そのツイッターで、彼のニコニコ動画での番組の告知が。
どれどれ、と仕事のBGMにかけてみると、なかなか興味深い。

その回は、セグウェイ(バイクでも自転車でもない、新しい乗り物)を
日本で初めて運転した、という方がゲストで。

「とりあえず逮捕されたんだけど、これを違法とする法律がない。」
でもこれはなんいかんだろう、というので、国の人は
その時の気分で、その場用の法律を作っているんじゃないか、と。
(ちょっとうろ覚えなのでたぶんに僕の主観が含まれますが)

なるほど。

そこに意気投合する堀江さんをみて、僕は、
そうか、つまりこの堀江という人の事件はそういう感じなんだ。と、
初めて思いました。

そういえばこの人の言い分を聞いたことがなかったのだな、と。


それ以来、ツイッターで彼を見るにつけ、だんだん、
変わっているけど、面白いことを考える人だな、と思うようになりました。

その後、コミックゼノンの編集、Aさんから、
堀江さんの小説の漫画化のお話を頂いたのは偶然です。

つまらなければ断る条件で小説「拝金」を読みました。

そこには、意外にも、すがすがくて前向きな考え方が描かれていました。

とりえも無く、人生をあきらめたような青年のもとに、
堀井と名乗る謎の切れ者が現れ、起業の方法を学び、上場し、
実際の堀江さんの事件に近い経験を、フィクションを交えながらしていく、
という内容です。

ひとつ不遜なことを言わせてもらえば、
私はプロの漫画家ですから、描かれた作品を見れば、
その作者の意図はだいたいわかります。

「かっこいいとは、社会のために何を成せるかだ。」
という価値観が、無意識に描かれているな、と感じました。

表向きの作品のテーマも中心も別の部分にあり、明言もされておらず、
この解釈は僕独自の勝手な思い込みですが。

何しろ漫画家というのは、自分の好きな偏屈な感性を、
曲げることなく、そこそこの儲けで、なんとか最期まで生き延びればいい、という
自分勝手な生き物ですから。
実業家的な社会、公益に対しての考え方が、
逆に新鮮だったのです。

善良だ。

少なくとも、この作者は、
これを読んだ多くの読者(おそらくは若者)が
何かしらの希望を持って
どんな方法であれ、これから何らかの形で
「社会」に必要とされる存在になるべく
挑戦することを促しているな、と。

それはきっと善意だろう。

ちょっと自虐的に言うなら、
時に拗ね、時に傲慢に、マイナー漫画家を
まさに読者の皆様の奇特な気まぐれで、続けている僕にとって、

まぶしいくらいの善意です。

次の日、僕は編集Aさんに引き受ける旨の返事をしました。

(正確には漫画化企画のコンペに僕を推薦してもいいか?への返事でしたが。)

僕が拝金の仕事を受けたのは、そういう理由です。
そして、間違いなく、そういうコンゼプトが伝わるよう漫画化しています。

その後、堀江さんの本をいくつも資料として読んで研究し、今に至るというわけです。
(白状してしまうと、すべてを読んでいるわけではありませんが。)

ライブドア裁判については「徹底抗戦」(この表紙デザインはすこしコワイですが)
堀江さんのキャラクターや考え方については最新の著作やツイッター、
多くのメディアを追いつつ、拝金漫画版の連載の展開を考えています。

裁判の経緯について、僕は経済、法律の専門知識に乏しく
すぱっと、説明がしにくいのが歯がゆいのですが。
ただ、調べるほどに、僕がTV報道などから当初抱いていたイメージとは
全く違う事実が多くあります。

昨日の報道についても、
ある見方で言えば量刑が不公平でシステムが機能していない、
ある見方で言えば反省が無い、悪質だ、
メディアによっては伝え方が正反対のものさえあります。

たとえば僕らはたいして興味もないわりに、
知っているようで知らない、という
そんな事件は意外にたくさんあるんじゃないでしょうか。

じつはこの事件は前例の無い事件であって、
真っ白でも、真っ黒でもなく。グレーが多く。
私たちが情報を自ら調べ、おのおのに考えてみるべきのように思えます。

じつは堀江さんとは数回お話させていただいた程度で、
深くまで知っているとは言いがたいのですが、
僕の印象は変わりません。

ちょっとヘンだけど、根は善良なひとだ。とね。

これは保証します。

本来連載中に自作を語ることは蛇足なのでしないのですが、
ちょっと堀江さんについて考えていることを
描いてみました。

2年あまり、収監ということになるそうですが、

ひょんな縁がきっかけですが。
僕は今後も、堀江さんのご活躍を応援します。


漫画は起業編を終え、いよいよヒルズ編へ入り、
今後どんどん面白くなっていきます。
かわらず精進してまいりますので。
どうか今後も漫画版「拝金」よろしくお願いいたします。

長文失礼いたしました。

竹谷州史



参考までに、下記に、この件に関しての堀江さんの会見の、
メディアジャーナリスト津田大介さんの実況まとめ、
海外の報道を翻訳したとされるもののリンクを晴らせて頂きます。
皆様これに限らず、多少なりともこの件、関心を持っていただけると、
僕は個人的に、少し嬉く思います。



Togetter - 「堀江貴文氏緊急記者会見 主催​:自由報道協会 @tsuda さんのツイート」

味のりスロウスターター : ホリエモン実刑確定に関する海外での報道



【4/28追記】堀江さんの事件についてくわしく知りたい方に。
わかりやすい解説です(音声ファイル)↓

大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹紳士交遊録」ポッドキャスト
【4月26日山口一臣(週刊朝日デジタルスーパーバイザー)】

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プロフィール
HN:
竹谷州史(たけやしゅうじ)
性別:
男性
職業:
漫画家
自己紹介:
岩手県盛岡在住の漫画家。
最新作「災厄乙女パン子」(月刊日ヒーローズ)。
最近は主にツイッターが中心。
既刊「Smoking Gun民間科捜研調査員流田縁」(グランドジャンプ)「拝金」(コミックゼノン)「紅蓮の花真田幸村」(コミックバンチ)「まっしろけ」「astral project月の光」「皆殺しのマリア」「LAZREZ」「PLANET7」(以上コミックビーム)など。
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